私たちの身近にあるプラスチック、代表するペットボトルをはじめ、容器や塩ビ管、ボーリングの球(樹脂)といった物まで、プラスチックの種類は多種多様であり、わたしたちの身の回りに溢れています。
プラスチックを使用する商品の国内での年間生産高は、1960年頃には約200万トン、1980年頃には800万トンとなり、2000年頃にはなんと約1,600万トンにもなっており年々多くなっています。
日本プラスチック工業連盟
一方で、捨てられるプラスチックは約4,000万トン(2016年)、回収されるプラスチックの処理の内訳は、約20%がリサイクルや資源化されており、70%が焼却による再生エネルギー(サーマルリサイクル)に活用されています。※下図参照
今やプラスチックは分別回収が周知され、繊維やシートといった成型品と姿を変えリサイクル還元物として循環されています。
しかし再利用されるペットボトルはラベルを剥がし綺麗に洗浄されている「質がよいもの」に限られており、実質リサイクル率は約20%程度に留まっているのが現状です。
ゴミ焼却時の熱を利用し電気変換させ、売電・施設電気に利用されるものです。そして現在70%が電力利用、売電されています。しかしながら、世界から見るこのリサイクル方法はリサイクルの概念とは画しているとされていて「焼却」自体が良いイメージとされていません。
*リサイクルは「循環する」「回る」という意味があります。形状や用途の違う製品になるのはリサイクルではないという世界理念があり、そもそも海外ではサーマルリサイクルという言葉がなく、「エネルギー回収」や「熱回収」と呼ばれ、マテリアルや、モノに生まれ変わること自体をリサイクルと認識されません。
日本は、プラスチックを諸外国(主に中国)への「リサイクル資源」という形で輸出していました。しかし実態はリサイクルに適さない汚れた廃プラも混じっていた物が多く、ゴミを押し付けていたとも言える状態でした。
やがて経済発展を果たした中国は、大気汚染や様々な要因を踏まえ「バーゼル条約」に伴い完全に輸入をストップしました。それは、日本を始めとした多くの国で膨大な不要プラスチックの行先がなく国内リサイクルへ転化しなければなりません。
今まさに世界規模で問題となっているこの海洋ゴミは、既に1億5,000万トン(フランスの面積の3倍に相当)あると推定されています。そして、毎年800万トンのゴミがこれから先増え続けるという統計があります。
*毎年800万トンとは、ダンプカー1杯分のゴミを毎分海へ投入している計算です。
ポイ捨てされたプラスチック等は、雨、風によって下水や河川に流れ、やがて海にたどり着き、海から様々な国や島に漂着します。海に漂流したプラスチックはずっと自然に戻ることはありません。
また海では、紫外線で朽ち、マイクロチップ化したプラスチック粒子を餌と間違え魚たちが食べています。食物連鎖により、私たちの「食」にも影響(皮膚障害や肝機能障害を起こすPCB、石油、DDTなど)を及ぼすのではないかと研究が進められています。
海へと排出されたプラスチックごみは、海流と風の循環がもたらす作用によって特定の海域に集積されてしまいます。こうしたごみが集まりやすい海域は「ごみベルト」と呼ばれ、世界の海に5つ存在します。世界最大規模はハワイとカリフォルニアの間にある「太平洋ごみベルト」です。 海へと行き着いたプラスチック等ゴミは陸地に漂着される物や、1000年以上と朽ちることなく漂い続けると言われる漂流物になってしまうことにならぬよう、水際対策で未然に防ぐことが必要なのです。