焼却法令と脱炭素社会

●ものづくり日本の現状

日本は高い技術力により経済を発展させました。ものづくり日本として戦後より高度成長を遂げ、つくり出した製品は「JAPANブランド」として現在でも世界的に人気を博しています。

しかし、発展の影に潜んでいた不要物処理「産業廃棄物対策」を同時に考えなかった事、できなかった事が、今のゴミ問題に繋がっています。

日本は今まで、ゴミは輸出に頼ってきましたが、数年前から世界的にゴミの輸入拒否(CO2排出権不買化)が起こり、行き場を失い始めた日本のゴミが、地球環境汚染の一因となっています。

●不要物の焼却

国土の狭い日本は焼却ゴミ処理が主流です。そして今もその処理方法に変わりはありません。

この「不要物は燃やして無くす事」に対し、環境法では、大気汚染防止法(昭和43年6月10日施行)やダイオキシン類対策特別措置法(平成12年1月15日施行)等の法整備を行い、より厳格な環境法の制定し現在に至ります。

●リサイクル・再資源

スクラップなどの鉄、アルミ、銅線は有価物として市場で売買されています。また、ダンボール、雑誌なども古紙パルプとして再利用される為「リサイクル再資源」として成立っており、有効利用されています。

 

しかし、経済的な不況など様々な理由で市場原理が働き、有用資源でも買取価値が安くなり、また人件費など考慮した結果、ゴミと判断される場合は不法投棄をされてしまうデメリットもあります。

 

環境保護に勤めていくこと、循環型社会の協力や各リサイクル法の遵守をお願い申し上げます。

 

●リサイクル法

リサイクル法とは循環、廃棄物などの分別回収や資源、再利用について対象物ごとに、いくつかの法律を定めております。以下(環境法・産業法)

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律
特定家庭用機器再商品化法
使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律
建設工事に係る資源の再資源化等に関する法律
食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律
使用済自動車の再資源化等に関する法律
資源の有効な利用の促進に関する法律

希少金属レアメタルの再資源化やさまざまな廃棄物の抑止、減量、不法投棄防止を呼びかけています。

 

●希少金属(レアメタル)の回収

廃棄される小型電子機器や家電製品などの中には、実はレアメタル等などの有用な資源が含まれています。これらは都市鉱山と言われている程です。

 

●ゴミの移動に対する排気NOX,SOX軽減、費用軽減策

環境的に自治体が管理するクリーンセンター へゴミの集約させることは、一見合理的に見えるものの車両移動排気NOX、SOXを伴い総合的に大気汚染を引き起こします。また、クリーンセンター の存在しない市町村や離島では、近くのクリーンセンター のある自治体との契約で運び入れる施策、自治区へ船で輸送するなど処分費用を負担しています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律では以下のとおり

国民の責務(第2条の4)

国民は廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分することなどにより、廃棄物の減容その他適切処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。

とあり、自助を促しています。シンプルにゴミの地産地消ができればゴミ処理費用の軽減させることができ、同時に処理施設の延命化にも貢献することができます。

 

●地球温暖化やCO2対策の国際的枠組み

日本は国連気候変動枠組み条約 パリ協定(COP25)から、地球温暖化対策に後ろ向きである国に贈られる「化石賞」という不名誉な賞を2度受けてしまいました。ゴミ処分施設設置率が多いことや、電力創生については化石燃料依存がいまだ高く、また石炭火力発電は約38%を占めており「パリ協定を軽視し、地球を破壊して人々を危険にさらしている」と批判されています。

それに伴い日本政府は、温室効果ガス排出を2050年までに実質ゼロにする方針を表明しました。
パリ協定に批准する目標の達成のためには、CO2の排出をいち早く削減し、脱炭素に向かうことになります。
中期目標として2013年度までに26〜30%削減、中長期目標では2030年までに温室効果ガス50%削減とし、段階的に2050年までにゼロ達成を目指す方針です。

パリ協定ではあくまで地球温暖化対策の大枠を定めたものであり、脱炭素社会の実現に向けた具体的な目標設定や施策等は、各国・各地域が個別に行うことになります。そして削減目標などの「自国が決定する貢献(NDC:Nationally Determined Contribution)」を、2020年以降、5年ごとに提出することが義務化されるようになります。また、先進国に関しては、途上国に対し金銭的・技術的サポートを行うことも求められています。

 

●新エネルギーの創生

今や、2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロという目標達成に向け「脱炭素社会」にシフトしていく中、水素など新たなクリーンエネルギー資源を活用した取組みを具体化させる必要があります。

*再生可能エネルギー(自然エネルギー)
 太陽光発電や風力、バイオマス発電など

*リサイクルエネルギー
 今まで捨てていたエネルギー、資源を有効利用

*従来型エネルギーの新利用形態
 二酸化炭素の発生を抑止しつつ、エネルギーを有効に利用する

といった多彩なエネルギーの創生、利用方法が更に加速していくと推測されます。

*水素社会

資源エネルギー庁